そのアパート提案、本当に適切ですか?・・・一括借り上げ

2019年6月17日

そのアパート提案、本当に適切ですか?・・・一括借り上げ


さて、今回は一括借り上げについてお話しします。

まず、一括借り上げという言葉どこかで聞いたことはあるでしょうか?
自宅と違って、アパートを建築して一番気になるのはもちろん賃料収入です。

全室ずっと誰かが借りていれば問題ありませんが、実際には入退去を繰り返します。

その期間は一般的な平均の目安として、
ワンルーム・1Kなど単身用で2~3年
1LDK・2LDKなどカップル・ディンクス用で4年~6年
3LDK以上ファミリータイプで6年~8年と言われています。

そうすると、2年~8年に1回入居者が入れ替わるわけです。(中には新築から取り壊しまでずっと住んでる方もいらっしゃいますが。。。)
入居者が変わると、室内のクリーニングや補修、工事をする必要があり、その期間の賃料は当然ありません。
またその後すぐに新しい入居者が見つかるといいですが、上手くいくかはやってみないとわかりません。

また、新築は比較的早く埋まる可能性がありますが、築が古くなっていくと1年間空室状況が続くこともあり得ます。
そこで必要なのが前回のお話しさせて頂いた「周辺相場とのバランス」になってきます。


しかし、そんなリスクを排除する方法が「一括借り上げ」という手法です。
「一括借り上げ」とは、その名の通り、すべての部屋を「不動産屋などの業者」に一括で貸します。その借りた「業者」が入居者を募集して、転貸借(また貸し)する仕組みです。

なので、入居者がいてもいなくても毎月一定の家賃を支払してもらえるシステムです。


一見するとアパートオーナー様にとって、すごくいい制度に思えますよね??
では、何が問題なのでしょうか?


最近は「30年一括借り上げします!」
というCMや宣伝広告を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょうが、
この制度のポイントは、「2年毎に賃料の見直しがある」ということです。

例えば、賃料10万円のアパート10室を業者に「一括借り上げ」してもらいます。
(本当はそこから管理手数料や保険代が発生しますが、わかりやすくするために省きます。)

オーナー様側の毎月の収入金額は10万円の家賃が10室なので、毎月100万円収入になるわけですが、2年後に振り込みされる家賃は100万円とは限りません。

なぜなら、その2年間で入居者の入れ替え、賃料の減額、設備の故障があると、賃料を見直されるからです。

極端な話をすると、
最初の2年間は100万円、
そのあとの2年は80万円、
さらにそのあとの2年は60万円と
下落してもおかしくないからです。

なんで下落するかというと、
入居者が入居していないと業者は家賃収入がなくなります。
収入がなければオーナー様に支払う賃料を下げざるを得ないという単純な話だからです。

なので、よく「一括借り上げしているので、大丈夫ですって」説明を受ける方が多くいらっしゃるそうですが「何が」「どう」大丈夫なんですか?ということをしっかり確認してください。
もちろん100%未来がわかる人は存在しないので、ある程度の方向性や相場感覚で判断していくことにはなりそうです。

前回お話しした「バランス」が悪いと一括借り上げをしたところで結局はアパート経営が成り立たなくなるということです。

次回は「変化に対応するためには」です。

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